せっかく一戸建やマンションという持ち家を購入したのに、結婚や転勤、故郷へのUターンなど不測の事態が発生した。
新しい家に住み替えたいけど今の自宅は売った方がいいのか、
それとも自宅を貸して家賃収入を得た方が良いのか?
そんな迷いを抱えている人も多いのではないでしょうか。
そんな時、その物件を貸しますか?売りますか?
売るにしても貸すにしても、損はしたくないもの。「持ち家を売るか貸すか」の決断はどのようなポイントで考えればよいのでしょうか?
そこで、今回は自宅を売却した場合と、賃貸にした場合のメリット・デメリットについて考えてみましょう。
今回はこの点について4つのポイントごとに考えていきたいと思います。
- 売る場合と貸す場合にそれぞれかかる費用の比較
- 持ち家を売る場合と貸す場合とのメリットとデメリットを比較
- 土地の特性によって売るかどうか判断する
- 持ち家を貸したその後のことも考えて判断する
売る場合と貸す場合にそれぞれかかる費用の比較
売る場合と貸す場合、それぞれでどういった収入と費用があるのか見てみましょう。
持ち家を売った場合にかかる費用
売却で得られる収入
- 売却代金
売却にかかる支出
- 仲介手数料(売買代金の3%+6万円が上限)
- 抵当権抹消等登記費用
- 所得税(※譲渡益が出た場合)
- 収入印紙
- 修繕
- クリーニング費用(必要に応じて)
- 住宅ローン(残債のある場合)
持ち家を貸した場合にかかる費用
賃貸で得られる収入
- 賃料
- 敷金
- 礼金
- 更新料
賃貸にかかる支出
- 入居前の修繕
- クリーニング費用(必要に応じて)
- 故障トラブル対応、退去時修繕費
- 仲介手数料(1カ月分)
- 管理委託費(賃料の5%から10%程度)
- 管理費
- 修繕費立金(※マンションの場合)
- 固定資産税
- 都市計画税
- 住宅ローン(残債のある場合)
持ち家を売る場合と貸す場合とのメリットとデメリットを比較
持ち家を売る場合のメリット
自宅を売却する時のメリットは2つあります。
売却代金をすぐに得ることができる
1つ目のメリットは、売却代金をすぐに得ることができるという点です。それによって自宅を売却した金額を元手に新しい家の購入費用に充てることができます。
それに対して、賃貸ではコツコツと家賃収入として獲得していくことになります。そのため現金を回収するタイミングが遅くなり、新しい自宅の頭金として使うことは難しくなってしまいます。
また空室のリスクを抱えて家賃収入が得られなくなってしまうという可能性もあります。
自宅の維持費・管理費が不要になる
2つ目のメリットは、自宅の維持費・管理費が不要になるという点です。賃貸であれば、何年かごとに家賃の低下を防ぐためにリフォームをする必要があります。また固定資産税を支払い続けることも視野に入れなければなりません。
自宅の売却をしてしまえば、当然ですがそうした運用費用を負担する必要がなくなります。
- 売却代金を得られる
- 売却額を確定できるため、将来下落するリスクを回避できる
- 不動産の維持管理などにかかる手間とお金が不要になる
自宅を売却した時のデメリット
賃貸と比較して、自宅を売却することのデメリットはそう多くはありません。
最も大きな問題は一度自宅を売却してしまえば戻ることができないという点です。
慣れ親しんだ思い出深い自宅を売却してしまうといった場合には、感情的なマイナス面があると言えます。賃貸であれば、転勤期間が終わり再び戻ってくる場合でも賃貸契約を解消すれば自宅に住むことも可能です。
ただしこの場合、現在の日本の法律では自宅の借主に有利になっているということに注意が必要です。「出張期間が終わって来月自宅に戻ることになったから、借主さんはそれまでに出ていってくださいね」と言っても強制力がないのです。
そのため更新月まで待つか、あらかじめ転勤期間が分かっているのであれば定期借家契約を結んでおくといった工夫が必要となります。
- 資産を失う
- 住宅ローンの残債務が多ければ、自己資金での充当が必要な場合がある
- 地価上昇局面なら、売却代金を損する場合がある
持ち家を貸すときのメリット・デメリット
賃貸契約をする場合のメリットとデメリットは、自宅売却のメリットとデメリットの逆だと理解しておけばよいでしょう。
賃貸にした場合、元の住みかに戻りやすいというメリットがありますが、すぐに現金化できないため、
- 買い替えの頭金として使えなかったり
- 空室リスクを抱えてしまったり
- 賃貸として貸す際の運用コストを負担し続けなければならない
といったデメリットがあります。
◯自宅を賃貸に出すメリット
- 資産を持ち続けられる
- 継続して家賃収入が得られる
- ローン完済の場合には所有する不動産を担保に融資を受けることも可能
✕自宅を賃貸に出すデメリット
- 維持管理の手間とコストが発生する
- 住宅ローンの借り換えが必要な場合がある
- 空室が発生した場合、収入を得ることができない
- 家賃収入に対して、確定申告をする義務が発生する
土地の特性によって売るかどうか判断する
意外と知られていないですが、土地には「売ったほうがトクな立地」と「貸したほうがトクな立地」があるということを知っていましたか?では賃貸に有利な土地とはどういうものでしょうか?
例えば外部からの流入が多く、利便性も高い「賃貸ニーズが盛況な立地」では賃貸にしても比較的安定して収入が見込める可能性が高まります。一方で、比較的人の出入りが少ない立地では賃貸にするにはややリスクが高まります。
持ち家を貸したその後のことも考えて判断する
「持ち家を貸す」と判断した場合、その後に様々なトラブルが発生する可能性を考えておく必要があります。主なリスクとして家賃の設定を周辺相場より高く設定しすぎてしまい、数ヶ月空室になってしまうという「空室問題」です。
また借り手がついた場合も借り手とのコミュニケーションや「借り手と近隣住民との問題」など、今までは思ってもいなかったような事態に対処しなくてはならない可能性も出てきます。
自宅の売却に向いている人、向いていない人は?
こうしたメリットとデメリットを考えると、2度と今の家に戻ることはないと分かっている人は自宅を売却した方が無難かもしれません。
賃貸に出して空室リスクという不安を抱えたり、賃貸の運用コストを負担したりと色々と気苦労を重ねるよりは、売却してしまって新しい生活に専念するというのも一つの手ではないでしょうか。
それに対してまた戻ってくるかもしれないし空室リスクや運用コストの負担なんか気にならないという人は賃貸に出すと良いかもしれません。
ただし、その場合は自宅が賃貸需要が豊富にあるエリアであり、かつ空室リスクや家賃の値下がりに耐えられる資金力を持っているかという点もしっかりと把握しておくべきでしょう。
自分である程度判断できたら、プロの意見も聞いてみる
どちらの選択肢をとるにせよ、自宅売却や賃貸のメリットとデメリットをしっかりと把握し、景気動向や不動産需要についても見通しをもつことが大事です。
困ったら自宅売却と賃貸の両方を取り扱っている会社に相談を
どちらか迷ってる場合には、まずは賃貸と売却を両方取り扱っている不動産屋などの専門家に相談をしてみましょう。